Vite満足度78差、それでも使用率はまだ横並びだった話

前回はNext.jsの満足度急落という、JavaScript側でも珍しく人間くさい話でした。今回は同じ「State of JavaScript 2025」から、もう少し道具寄りの話を見てみます。ビルドツール(コードをまとめて配信用に変換してくれる仕組み)の、ViteとWebpackです。

満足度の差がすごいことになっていました。Viteは肯定56%・否定1%でネット+55。Webpackは肯定14%・否定37%でネット-23。その差、78ポイントです。新規プロジェクトに限ればViteの満足度は92%まで上がるというデータもありました。ここまで数字が離れているランキングは、これまでのシリーズでも見た記憶がありません。

💡 Tips: ビルドツールって何?

書いたコードをブラウザが読める形に変換したり、複数のファイルを1つにまとめたりする裏方の仕組みです。WebpackとViteはその代表格で、どちらもReactやVue等のプロジェクトの土台としてよく使われます。

圧勝のはずなのに、使用率はまだ横並び

これだけ差がついていれば、もうWebpackは使われていないだろうと思いました。ところが使用率を見ると、Webpack86.4%・Vite84.4%と、まだ2ポイント差しかありません。満足度は78ポイントも離れているのに、実際に使われている割合はほぼ横並びのままでした。

3本目のコンテナクエリで見た「対応してるのに使われていない」という遅れとは、少し違う遅れ方です。あちらはブラウザ対応という技術的な壁が理由でした。今回は壁がないのに、現場の入れ替えが追いついていません。理由は単純で、既存のプロジェクトを丸ごと作り直すコストが、単純な新規採用よりずっと重いからだと調査元では分析されていました。

Webpackが長年使われてきた分、大規模プロジェクト向けの細かい設定ノウハウや、社内向けのビルド最適化のしくみが積み上がっている現場も多いはずです。満足度だけを見て「今すぐ乗り換えるべき」と判断するには、そうした積み上げ資産の重さも無視できません。新規プロジェクトではVite一択に近づいているのに、既存プロジェクトではまだWebpackが手放せない。同じ調査データの中に、フェーズの違う2つの現場が混在しているんだと思います。

それでも、静かに主役は交代しつつある

調査では、Viteが使用率でReactを抜いて全体2位に浮上したことも触れられていました。1位の座も「来年には取りそう」という見立てです。満足度の差がここまで開いたまま数年続いた結果、新規プロジェクトから少しずつ置き換わり、気づけば使用率でも逆転する。そういう順番で技術が入れ替わっていくんだなと、数字を追っていて実感しました。

面白いのは、この逆転が一気に起きたわけではないところです。調査元の解説によれば、Viteはここ数年ずっと「最も支持されているツール」の常連でした。それでも使用率トップの座には届かず、じわじわとWebpackの牙城を削り続けてきた結果が、今回の2位浮上だったようです。満足度で勝っているからといって、翌年すぐ主役交代とはならない。何年分もの積み重ねがあって、ようやく数字に表れてくるということなんだと思います。

同じ調査では、TypeScriptを完全に使うと答えた人が40%まで伸びていて(前年34%、さらに前は28%)、素のJavaScriptだけという人は6%まで減っていました。満足度も84.1%と高水準です。ビルドツールもTypeScriptも、方向はもう決まっていて、あとは現場が追いつくのを待っている段階に見えました。

自分の環境でも、入れ替えは静かに進む

うちのローカル環境はMAMP、本番はXserverで、WordPress・PHPが中心です。ViteやWebpackを直接触ることはほとんどありませんが、「満足度は圧倒的なのに、使用率は追いついていない」という構図には覚えがあります。自分の場合はSCSSのビルド周りで、新しい書き方を知っていても、既存ファイルを全部書き換えるコストを考えて後回しにしてしまうことがあります。頭では「新しい方がいい」と分かっているのに、手が動くのはいつも既存の仕組みの方でした。

技術選定の乗り換えは、良し悪しが分かった瞬間には起きません。既存の資産を抱えた分だけ遅れて、じわじわ追いついてくる。今回のViteとWebpackの数字は、そのタイムラグを目に見える形で教えてくれた気がします。

逆に言えば、満足度の高い新しい選択肢が出てきても、すぐに焦って乗り換える必要はないということでもあります。数字がじわじわ積み上がって、明らかな差になってから動いても遅くはない。今回の調査を見て、道具選びに対してそんな距離感でいいんだなと、少し安心もしました。ただし「明らかな差」に気づくためには、今回のように定期的に外の数字を見にいく習慣そのものは欠かせないとも思います。

次回はAIがコードを書く割合の話をする予定です。こちらも同じ調査から、ちょっと気になる数字が出ていました。

この記事を書いた人

Web制作歴10年近く。WordPressのテーマカスタマイズやコーディングを中心に、副業・本業ともにweb制作に携わっています。このブログでは、実際に手を動かして分かったことを書いています。

Cat's Handをフォローする

この記事が参考になったら、応援クリックをお願いします

タイトルとURLをコピーしました