「AIに何でも書かせる時代」と言われるようになって久しいですが、State of CSS 2026の調査結果を見ていたら、意外な数字に目が留まりました。CSSコードのうち、AIが生成した割合の中央値は、わずか13%。回答者の26%は「CSSでAIを一切使わない」と答えていました。
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CSSだけ、明らかに低い
他の分野と並べてみると、この数字の低さがよく分かります。State of JS 2025によると、JS全体では「30%弱がAI生成」。GitHub全体のコミットデータだと46%、Sonarの調査では42%(2027年には65%まで伸びるという予測報道もあります)。
こうして並べると、CSSだけが明らかに浮いています。同じフロントエンドの技術なのに、なぜCSSだけAIに任せる割合が低いのでしょうか。
💡 Tips: State of CSS/State of JSとは
世界中の開発者を対象にした年次アンケート調査です。使用しているツールや言語機能の採用率、満足度などを毎年集計しており、フロントエンド業界のトレンドを把握する定番の資料として広く参照されています。
自分の実感と重ねてみる
State of CSSの回答者コメントには、「AIはまだCSSを上手く書けない」という声がいくつも見られました。これは自分の実感とも重なります。見た目の微調整やレスポンシブの崩れ方は、実際に画面を見て人間が判断する部分がまだ多いです。AIに指示を出しても、最後の1pxの調整は結局自分の目で確認しながら直すことになります。
「手直しは自分でやる」という前提なら、CSSの生成率の低さにも納得がいきます。ロジックが正しいかどうかは検証しやすくても、見た目が「なんとなく気持ち悪い」かどうかは、結局のところ人間が画面を見て感じ取るしかない部分です。AIに指示を出す際の言語化コストと、自分で微調整する手間を比べたら、後者の方が早いと感じる場面が多いのも、CSSならではだと思います。
ちょうど同じ時期に、既存記事の見直しプロジェクトを進めていました。機械的なチェックだけでは気づけない問題を何段階も見つけたのですが、あの作業の中で「実行はAI、判断と最終確認は人間」という役割分担を何度も意識しました。CSSの数字が示しているのも、結局は同じ構図なのかもしれません。
数字の比較には注意が必要
ここで一つ、誠実に書いておきたい留保があります。今回並べた数字は、調査ごとに「AI生成」の定義が微妙に違います。「完全にAIが書いたコード」を指している調査もあれば、「AIの補助を受けたコード」まで含めている調査もあり、単純に並べて比較できるものではありません。CSSが13%、JSが30%弱という数字も、あくまで参考値として捉えるのが正確です。
JSの30%も、思ったより低いのはなぜか
数字を鵜呑みにせず裏を取ってみると、もう一つ発見がありました。「JSの30%弱も、思ったより少ないのでは」という疑問から、State of JS 2025の回答者属性を確認してみたところ、平均開発経験12.2年、職種は「Software Engineer」「Senior Engineer」「Technical Lead」「CTO」などが上位、平均年収は80,907ドルという結果でした。
つまり、詳細な技術アンケートにわざわざ答える現役プロエンジニア層に、回答者が偏っているということです。GitHub全体のコミットデータ(46%)やSonarの調査(42%)のような「プラットフォーム全体」の数字には、初心者や趣味の開発者、いわゆるvibe coding寄りのプロジェクトも混ざります。母集団の違いが、そのまま数字の差に表れている可能性が高そうです。
母集団を変えたら、数字が逆転した
この仮説を検証するように、もう一つ裏付けが取れました。バイブコーディング利用者の63%は非エンジニア(ノーコード層)である一方、プロ開発者の72%は「バイブコーディングは自分の業務フローに含まれていない」と回答しているというデータです。
母集団がプロ層かノーコード層かで、AI生成コードへの向き合い方が真逆に振れる。この構造がはっきり裏付けられた形になりました。
プロ層が慎重な理由もデータにある
AI生成コードの品質面でも、慎重になる理由と思えるデータがあります。AI生成コードへの信頼度は77%から60%へ下落し、AI共同執筆のコードは人間が書いたコードより1.7倍多くの重大な問題を含み、45%のAI生成コードには高リスクなセキュリティ欠陥があるという調査結果です。これらは、プロ層がCSSやJSでAI生成に慎重な理由の裏付けとしても読めます。
まとめ
CSSのAI生成率の低さは、最初は意外に感じましたが、掘っていくと「手直しは人間がやるもの」という実感、母集団の違いという構造、AI生成コードの品質面の懸念と、いくつもの要因が重なった結果だと分かってきました。
数字を見て「へえ」で終わらせず、なぜその数字になっているのかを一段階掘ってみる。今回はその過程で、思っていた以上にいろんな発見がありました。母集団や定義を確認せずに数字だけを比べていたら、「CSSはAIが苦手な分野」という浅い結論で終わっていたと思います。次に別の調査結果を目にしたときも、まずは回答者が誰なのかを確認する癖をつけておきたいところです。
出典: State of CSS 2026、State of JavaScript 2025 Conclusion、State of JavaScript 2025 Demographics、Sonar State of Code Developer Survey、Vibe coding statistics 2026(Hostinger)
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