YouTube Shortsを作りながら、「ナレーションを入れたら伸びるんじゃないか」と何度か頭をよぎったことがありました。
テロップだけで押し通してきたけど、声が乗った方が親しみやすくなる気もするし、情報量も増やせそうな気がする。
思いつきのまま放置するのも気持ち悪いので、一度ちゃんと検討してみることにしました。
行き着いたのは「今回は見送り」という判断です。
施策を足さない判断って、意外と理由を言葉にする機会が少ないので、ここで整理しておこうと思います。
理由1: Shortsは無音再生される割合が高い
まず前提として、Shortsは音を切ったまま再生している視聴者がかなりの割合を占めます。
無視できない数です。
今のうちの動画はテロップ主体です。
音を切っていても内容が100%伝わる作りになっています。
ここにナレーションを足しても、もともと聞いていない人には無関係です。
効果が届くのは、視聴者の一部だけ。
コストをかけて作業を増やすなら、全員に等しく効く改善から手をつけたいので、一部にしか効かない施策を優先するのは、ちょっと割に合わないなと感じました。
理由2: 短尺の方針と衝突する
タイミングも悪かったです。
2026年8月19日に、動画のテンプレを4シーン・20秒台の短尺構成に切り替えたばかりでした。
テロップなら「文字数÷5秒+バッファ」くらいの計算で尺を機械的に詰められますが、ナレーションを入れると読み上げ速度が尺を決めてしまい、逆に尺が伸びる方向に引っ張られます。
せっかく46秒を22秒まで詰めた直後でした。
ここでナレーションを足すのは、自分で決めた方針への逆行です。
実際にYouTube Data APIで実データを取ってみたところ、短尺化してからの動画(20〜27秒、23本)の平均再生数は約525回で、それ以前の40秒台の動画(13本)の平均約177回と比べるとかなり伸びていました。
チャンネル自体の成長やネタの内容差も影響しているはずなので、この数字だけで「短尺化が効いた」と言い切るのはフェアではありません。
ただ、少なくともこの方針を裏切ってまでナレーションを足すべき理由は、今のところ見当たりませんでした。
理由3: 声の調達に別の問題が出る
声の調達、実はここが一番厄介です。
自分の声で録るなら、動画を作るたびに収録の手間が発生して、今のRemotionでの自動レンダリング運用が崩れてしまいます。
かといって合成音声を使うなら、クオリティ次第ではチープな印象になるリスクがあるうえ、商用利用の可否やクレジット表記が必要かどうかを毎回確認する手間も増えます。
どちらも手作業が増えます。
今の「ネタを決めたらほぼ自動で動画が出来上がる」というシンプルな運用フローに、新しい工程を足すことになります。
実は前科があります。
Geminiで生成した画像を「透過背景のはず」と信じて使ったら、実はチェック柄がそのまま絵として焼き込まれた偽物でした。
見た目のクオリティは事前に確認しないと分からない、というのはこの時の教訓です。
音でも同じはずです。
導入するなら、実際に生成した音声を自分の耳でしっかり確認してから、という手間も込みで考える必要がありそうです。
画像の時は仕上がりを見れば一発で分かりましたが、音声は再生してみるまで判断できません。
確認の手間自体が、画像のとき以上に重くなりそうな予感がしています。
ナレーションをやる価値が出てきそうな条件
とはいえ、常に不要とは思っていません。
条件次第です。
60秒を超える長尺をやるようになったら、情報量が増えてテロップだけでは画面が文字で埋まってしまうので、音声で補う意味が出てきます。
実際、横型の長尺フォーマットに初挑戦したときは、この条件に当てはまったのでナレーション(AivisSpeech)を新規に導入しました。
Shortsではテロップのみ・ナレーション無しの方針を貫きつつ、尺が伸びる長尺側だけ条件付きで解禁する、という使い分けが実際に機能しています。
あとは、顔出しなしでもチャンネルの人柄をもっと出したいフェーズに入ったときも、声は有効な手段になりそうです。
話し方のクセや間の取り方。
文字だけでは伝わらない部分は、声が乗ることで初めて伝わると思っています。
Shorts側は今はまだどちらの条件にも当てはまらないので、見送りが今の運用に一番合っていると判断しました。
まとめ
つい「効果がありそうか」だけで判断しがちです。
今回は自分の運用方針(尺・制作フロー・視聴環境)と突き合わせて考えたことで、素直に見送りを選べました。
面白いのは、同じ「ナレーションを入れるか」という問いなのに、動画の尺という前提条件が変わるだけで、Shorts側と長尺側できれいに分かれた結論。
記録は財産です。
やらない判断も、思いつきではなく根拠つきで残しておくと、後で条件が変わったときに見返す材料になります。
「なぜやらなかったか」を書いた記事は少ないです。
「これを導入してみた」系の記事に比べると、意外なくらいに。
足す判断と同じくらい、足さない判断にもちゃんと理由があるはずなので、今後もこういう見送りネタは積極的に書いていきたいです。
続きはまた今度。
短尺テンプレの実データがもう少し貯まったら、同じ切り口で振り返ってみようと思います。
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