「世界のWeb事情」シリーズのネタ探しで、JetBrainsが2026年1月に実施した調査(AI Pulse Survey、世界の開発者11,000人が回答)を読んでいました。開発ツールベンダーのJetBrainsが自社ブログで新製品の背景として紹介していたデータで、数字を追っていくうちに、自分のブログ運営のやり方を振り返らされる結果に行き着きました。
AIを使ってる人は90%、でも中身はバラバラ
まず全体の数字はこうでした。
回答者の90%が、すでに仕事でAIを使っている。
51%は毎日使っている。
ここまでは、正直「まあそうだろうな」という感覚に近い数字です。うちのブログもClaude Codeを使って運営しているので、驚きはありませんでした。
ただ、内訳を見ると数字の意味が変わってきます。
汎用チャットボットではなく、専用のコーディングアシスタントを導入している人は74%。
さらに一歩進んで、AIコーディングエージェント(自律的に調査・実装・テストまで進めるタイプ)まで使っている人は、まだ22%にとどまっていました。一方で、回答者が勤める企業の66%は今後12ヶ月以内に導入予定と回答していて、エージェントの本格導入自体はまだこれからの段階だと分かります。
ツール別の数字も載っていて、うちで普段使っているClaude Codeは世界全体で18%、アメリカ・カナダ限定だと24%まで使われていました。
認知度自体も、2025年4〜6月の31%から2026年1月には57%まで、半年ほどでほぼ倍増しています。まだ最大手のGitHub Copilot(認知度76%)には及びませんが、伸び方だけ見ると勢いは感じます。
一番刺さったのは「13%」という数字だった
💡 Tips: 開発のライフサイクルとは
ソフトウェアが「作られてから使われ続けるまで」の一連の工程のことです。
要件定義・実装・テスト・レビュー・リリース・運用監視といった段階に分かれます。AIをどこか1つの工程だけで使うのと、複数の工程をまたいで使うのとでは、影響の範囲が大きく変わります。
今回の調査で一番引っかかったのは、この数字でした。
開発のライフサイクル全体、たとえばコードレビューやリリースパイプラインまで含めてAIを使っている開発者は、13%を超えていない。
90%が「使っている」と答えていたのに、実際に使われている範囲はエディタの中の個人作業に留まっていて、開発プロセス全体に広がっているケースはまだ少数派だ。調査元はそう指摘していました。
言われてみれば、確かに実感と一致します。
コードを書く場面でAIを使うのは当たり前になっていても、そのコードをレビューする工程、テストして本番に反映する工程まで一貫してAIに関わらせている、という話はあまり聞きません。
個人の生産性は上がっていても、開発全体のスピードや信頼性の向上にはまだ結びついていない。この見立ても納得感がありました。
理由も想像しやすいです。
個人が自分のエディタの中でAIを使う分には、責任の範囲は自分だけで済みます。
ところがレビューやリリースといった工程は、チーム全体の成果物に直結するので、権限管理や監査のしやすさといった、個人作業とは別種のハードルが増えます。実際、この調査を出したJetBrains自身も、エージェント駆動の開発をまとめて管理・監視できる新しい仕組みを発表していて、まさにこのギャップを埋めるための製品でした。
うちの運用を数え直してみた
ここで、自分の運用を数え直してみることにしました。記事の下書きを書く工程だけでなく、書いたあとにnatural-japanese lintで文体をチェックする工程、公開前に自己採点して90点未満なら書き直す工程、本番サーバーへの反映作業、YouTube用の動画制作、SNSの予約投稿まで、気づけばひと通りClaude Codeに関わってもらっていました。
ここまで並べてみて、「執筆」と「レビュー」と「公開」と「配信」が別々の工程として分かれていることに気づきました。
調査が言う「コードレビューやリリースパイプラインまで含めて使っているか」を、記事という単位に置き換えても、うちは一通り当てはまっていたわけです。
実際、この記事自体も、下書き→文体チェック→硬い言い回しの修正、という工程を経てから公開しています。書く工程と直す工程が、はっきり分かれて動いている実例です。
もちろん、これは会社の開発プロセスと個人ブログの運用を単純に比べられる話ではありません。
組織規模のガバナンスやセキュリティの制約を抱えた開発チームと、自分ひとりで完結できる個人サイトでは、AIを広く使うための障壁の高さがまったく違います。ただ、調査が指摘する「個人作業に留まりやすい」という壁を、規模の小さいこの運用だと意外と越えやすかったんだな、と気づきました。
まとめ
「AIを使っている」という数字だけでは、どこまで深く使われているかは分かりません。
今回のように、90%という高い普及率の裏で、開発プロセス全体まで浸透しているのはまだ13%という低い数字が隠れていることもあります。次にAI活用系の調査を見るときも、割合の高さだけでなく「何に対する割合か」まで確認する癖をつけておきたいと思いました。




